
 図1を用いて超伝導磁気浮上法の測定原理を説明する.超伝導コイルに,コーン形状の超伝導体を挿入し,可変電流源でコイルに電流を流す装置を考える.コイル端子電圧が0であるとき,超伝導線で接続された超伝導コイルに鎖交する磁束 は一定となる.浮上体外表面でコイルに鎖交する磁束が平行となるように,浮上体外表面には遮蔽電流が流れ,浮上体には表面に垂直な電磁気力が作用する.浮上体の形状は上広がりの円錐形であるので,その合力は鉛直上向きとなる.コイル端子電圧が適当な値となるように電流源を制御し電流を大きくしていけば,あるところで浮上体は重力に逆らって浮上する.このとき,電磁気的エネルギーと力学的エネルギーとの間の関係が得られる. 図 1: 超伝導磁気浮上システムの概要超伝導磁気浮上法は,機械的接触部分が存在しないという決定的とも言える長所を有している.また,極低温,高真空という極めて安定な環境下で測定が行われるため, よく定義された実験条件を再現性よく実現できる優位性がある.個々の測定のうち質量測定を除いた,電気量測定,変位測定,重力加速度測定における不確かさは原理的には 10-8 より小さくすることは可能であるので,測定方法そのものの不確かさとして 10-8 程度を達成することは十分に可能であると考えられる. しかしながら,超伝導磁気浮上法では未だ絶対測定結果は出ておらず,現在,予備システムを用いて 10-6 程度の不確かさを目指した測定が進められている段階である.ワットバランスや電圧天秤などに対する優位性を証明するためにも,早々に,予備システムにおいて 10-6 程度の不確かさで磁束量子( )を絶対測定し,その経験を踏まえて 10-8 をターゲットにした本システム(1 kg分銅を積載)を立ち上げることが望まれている.  |