
フェムト秒レーザを用いた瞬時3次元形状測定法を開発する
〜 凹凸を色の違いに 〜
物体の3次元形状測定は工業的にも基礎科学の分野でも要求の高い基盤技術である。なかでも光を用いた計測法は、非接触・非破壊であるという大きな利点を持っており様々な手法が提案されてきた。しかし従来の3次元形状測定法は、測定する際に何らかの走査を必要とするか、または計測後に複雑な解析処理を必要とするものであり瞬時に結果が得られなかった。
これは測定上不便というだけでなく、状態の変化する物体や運動する物体の形状をその場で測定することができないという点で問題がある。
光学計測研究室(量子部)では、これらの問題点を解決すべく新しい原理に基づく3次元形状測定法を開発した(計量研ニュース、1994年5月号)。これは超短パルスレーザを利用した技術で、3次元形状を1回のパルスで瞬時に測定し、画像の解析処理なしに光の色で直接色付き等高線地図のように描き出すものである。

図 1: 測定原理
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今回開発した方法は図1に示した原理に基づくものである。物体に光パルスを照射しその反射光の到達時間を測定することで距離情報を得るという、飛行時間測定法に基づいているが、このとき照射する光パルスとして、1つのパルス光の先頭から末尾にかけて色が時間とともに連続的に変化する光パルス(チャープ光パルス)を用いることが特徴である。このチャープ光パルスを対象物体に照射し反射光をあるタイミングでシャッタで切り出すと、奥行き形状に応じて色の分布を持った2次元の色画像が得られる。
光学計測研究室では、光源として100フェムト秒のパルス幅を持つチタンサファイアレーザを用い、水の自己位相変調効果により発生させた可視光全域をおおうチャープ光パルスと、CS2 分子液体の光カー効果を用いた超高速シャッタとにより、以上の原理に基づく新方法を実現した。3枚のブロックゲージを用いて作った既知の段差を試料として測定した結果を図2に示す。段差が色の違いとして鮮明に計測されている。このときの色と長さを対応づける物差し(図2の下部)を用いて奥行きの値を決定したところ既知の値と一致し、開発した方法の有効性が確認された。
図 2: ブロックゲージで形成した段差の測定例
この技術は、ブロックゲージのような鏡面の反射物体だけでなく、粗面や運動物体の他、光を透過する物体にも応用することができる。今回開発された3次元測定法を用いることにより、例えば、運動する生体の3次元顕微鏡計測や、逆に面積の比較的大きな製品のイン・オンライン検査等が可能になると期待されている。今後、これらの超短光パルスを利用した計測法の開発に広く取り組んでいく予定である。
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